こんにちは、齋藤です。
建築学科出身の割りに、好きな建築家があまりいなかった私ですが、
前川國男という建築家の建物だけは好きです。
それまで、色々な建築を見たり、行ってみたりしましたが、
実際にそこに住んでみたいと思う建物はありませんでした。
居間(前川自身はサロンと呼んでいました。)の居心地の良さは、
初めてお邪魔したとは思えないほどリラックスできる空間でした。
広さや、明るさ、天井の高さが心地よいのです。
太陽の光をめいっぱい取り入れるため、南側には大きな窓があり、
室内から庭が大きく視界に入ってくるので狭さを感じません。
また、その南側の窓の向かい側にも窓があり、
両方を開ければ、室内に風の通り道ができます。
エクステリアとインテリアを上手く一体化させた例のひとつと言えると思います。
人が心地よいと感じるのは、やはり外(自然)の要因が必要不可欠なのではないでしょうか。
是非、「前川國男 自邸」と画像検索し室内から庭側を見た風景を見てみてください。
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エクステリアとは関係のない話ですが、
自邸以外では、神奈川県立音楽堂(桜木町)が身近なところではないでしょうか。
現在では、古くなったということもあり、外観はぱっとしませんが
(前川の建築は、どれも「外見が良いから惹きつけられる」というものではないですが…)
ロビーは大きく彩光面積が取られており、木漏れ日が美しい空間となっています。
ホール内部は木で覆われ、世界的な音楽家にも評判で「東洋一の響き」と言われています。
私はホールによって音の違いが分かるほど、耳が良くないのですが、
聴きに行ったコンサートでは、クリムトの「ベートーヴェン・フリーズ」がオーケストラの背景に飾ってあり、
その絵の元となったベートーヴェンの交響曲第9番を演奏するというものでした。
テレビなどでよく耳にする音楽ですが、木のホールなだけあって、豊かな響きを持っていたと思います。
グスタフ・クリムト 「ベートーヴェン・フリーズ <第3場面 歓喜・接吻>」