こんにちは、齋藤です。
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読んだのですが、
影のあり方について考えさせられました。
日本人の性質には、暗い室内が合っているのだそうです。
どういうことかと言うと、漆の器の美しさ、
屏風の美しさや、着物に使われる金銀の糸のきらめき、
日本人の肌の白さは、陰翳の中でこそ映えるものだということでした。
暗闇の中から、漆器に施された装飾の凹凸や、
器内の料理の暖かさ、漆が反射する鈍い光が現代の日本には少なくなってしまったとあります。
現代の日本の住宅では、谷崎の憧れるような生活は難しいかと思います。
実際、谷崎自身も純和風を賛美していながら、洋風の住宅に住んでいましたし…。
エクステリアでは、夜間の演出・安全のために照明を設置します。
植栽を下から照らし、背後の門袖や建物に影を移す様子はとても風情があると思います。
仕事や学校から帰ってきた際に、ほっとする空間になるよう心がけています。
京都の「ソワレ」という喫茶店では、女性の肌が美しく見えるという理由から、
青白い照明が採用されています。
また、渋谷にある「音楽喫茶 ライオン」は店内で流れる音楽に集中するため、
ほとんど真っ暗です。そして、私語厳禁という雰囲気…!
薄暗い店内で、陰翳を楽しむのもいいですね。