こんにちは、齋藤です。
9月に入り、段々と暑さが弱まってきたような気もします。
庭の地面を芝や砂利敷きにして、室内への太陽光の照り返しを弱めている住宅も多いのではと思います。
商業施設や高層ビルが取り入れる大規模な壁面・屋上緑化は、
植物の力を借りて冷却効果を得ることを目的にしています。
芝とセダムの冷却効果について、次のような結果が出ています。
・乾燥した日は、芝の方が多く水分を発散。
・湿度の高い日は、セダムの方が水分の発散が多い。
・しかし、長期的に見ると、どちらを植えても大きな差はない。
それぞれの表面温度を測ると、セダムの方が比較的低温で、
水分の発散量が多いと分かります。
芝は、水管理を怠ると衰弱し、冷却効果も落ちてしまいますが、
省環境下では、セダムの方が育てやすいと言えると思います。
また、屋上緑化は地上レベルにはほとんど影響が及ばないのに対し、
壁面緑化はの効果はダイレクトに伝わります。
また熱的な効果以外にも、防音効果にも期待が持てます。
住宅レベルでは、緑のカーテンも良い効果が得られるということではないでしょうか。
参考:「建築緑化入門(日経BPムック)」 編:日経アーキテクチュア
「都市建築物の緑化手法-みどりある環境への技術指針」 著:東京都新宿区
話変わって、別の環境下での植物について。
植物は、土の中へ深く根を伸ばし、地上の空へ向かって茎・葉・幹を伸ばします。
地面へ落ちた種から発芽した植物は、どのようにして上と下を判断しているのでしょうか。
植物の根の先端の細胞(コルメラ細胞)に、アミロプラストという色素が入っています。
このアミロプラストは、重力に従って沈み、どちらが上か下かを感知する役割を持っています。
風や雨によって倒れた植物は、この働きによって、再び立ち上がることができます。
この反応を「重力屈性」と言います。
また、突然変異でこの機能を持たない植物もいます。
その場合、土が十分に水分を含んでいれば、
例え一旦、地上へ根を出してしまっても、再び土の中(下方向)へ向かって根を伸ばします。
水分へ向かって伸びる性質を「屈水性」と言うそうです。
植物には、動物のような脳が無いにも関わらず、
ピンチに陥ったとき的確に判断でき、本当によくできていると思います。
(因みに、無重量状態の宇宙空間では、アミロプラストが沈まないので、
伸びる方向の制御が不能になると考えられています。)